三味線の撥の持ち方

三味線の撥ですが、まだ初心者ということもあるのですが、スクイや音の強弱のつけ方が非常に難しいです。これは撥に力が入っているので、スクイの際に糸に撥が強く引っかかってしまったり、常に糸に対して撥が強く能ているので、音にメリハリがつかないとうことが考えられます。私が学んでいるのは、津軽三味線の高橋竹山流なので、繊細で柔らかい音色が最大の特徴となっているので、このことは致命的であると言えます。

最近練習の中で感じたことは、撥の持ち方で力を抜くというのは、「撥の開きに添えた親指の力を抜く」ということです。親指に力が入っていているときに、演奏中に右手が感じるのは、撥の開きをグッと持っている感じであり、意識が撥に集中していまいます。

しかし、親指をほとんど乗せているだけぐらいに軽く添えて引くと、意識が親指が撥の開きに触れている感じから、撥の開きの先端の角が、糸に触れている感覚を感じられるようになりました。このことにより、糸に撥が触れる強さを意識できるようになり、以前よりスクイを軽くすることができたり、音のメリハリをつけられるようになってきたと思います。

また、奄美三味線の撥も同じで、今までトレモロ奏法が苦手だったのですが、親指の力を抜くことにより、細やかな弾き方ができるようになってきました。

剣術でも力を入れずに柄を持てと言われますが、道具や条件が変わったら、やはり力が入ってしまいます。人間の脳はそれほどに応用が難しいものだと思います 。この三味線の撥の持ち方の違いによる意識のあり方の変化は、剣を持つ力を抜くことによって、意識を相手(三味線でいう糸)に集中させるものであることの技術的な共通点を確認することができました。